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藤村 卓
JAERI-M 8082, 117 Pages, 1979/02
ポリエチレンにおける放射線照射効果を明らかにする為に、77Kで照射したポリエチレンおよびそのモデル化合物に生ずるラジカルの性質・挙動を、電子スピン共鳴法を用いて研究した。まず二つのラジカルが極めて近接した場所に生成するラジカル対の構造を、延伸ポリエチレンおよびn-アイコサン単結晶において決定した。ポリエテレンにおいては分子内ラジカル対が、n-アイコサンにおいては分子間ラジカル対が見い出された。これらのラジカル対はその構造からそれぞれポリエチレンにおける二重結合・架橋の先駆体と考えられる。次にポリエチレンに生ずるラジカルそのものの昇温による減衰挙動および存在領域について調べた。その結果低温におけるアルキルラジカルの減衰反応にはラジカルーラジカル間の距離が大きな要因となることが判った。また、アルキルラジカルが二重結合と反応して生成するとされているアリルラジカルがポリエチレンの結晶・非晶の両領域に存在することが明らかとなった。
藤村 卓; 田村 直幸
Journal of Chemical Physics, 65(6), p.2333 - 2338, 1976/06
被引用回数:4n-アイコサン(CH)単結晶に77°Kで電子線を照射し、通常ESRで観測される孤立ラジカルの他に、ラジカル対による?Ms=1ESRスペクトルを得て、このラジカル対の構造を決定した。我々は先に延伸ポリエチレン(PE)を77°Kで照射し、高分子では初めてラジカル対による?Ms=1スペクトルを得て、二重結合生成と関係があると考えられる分子内ラジカル対の構造を決定した。一方架橋と関係があると考えられる分子間ラジカル対を見出すには大きな単結晶が必要である。そこでアイコサンをモデル化合物に選び、生成するラジカル対による微細分離の再度依存性を結晶の二つの軸を回転軸として検討した。その結果、結晶のb軸方向に4種(二つのラジカル間距離4.42,4.54,5.22,5.33およびa軸方向に1種(4.25計5種の分子間ラジカル対が見出された。その他PEで見出された分子内ラジカル対の存在も示唆された。この仕事の結果から我々が延伸PEで分子内の他に分子間ラジカル対があると推定したことが裏付けられた。
藤村 卓; 田村 直幸
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 17, p.541 - 542, 1974/00
先に我々は、延伸ポリエチレン(PE)を77°Kで照射して、二重結合生成と関係があると考えられる分子内ラジカル対を、ESRを用いて見い出した。一方、架橋と関係があると考えられる分子間ラジカル対を見い出すには、単一な大きな単結晶試料が必要である。現在このような試料はPEには存在しないので、n-アイコサン単結晶について、ラジカル対の構造を調べた。その結果、n-アイコサンにはPEと同一構造を持つ分子内ラジカル対(二つラジカルの間の距離5.3の他に、少くとも二種類の分子間ラジカル対(二つのラジカルの間の距離4.4、4.2のあることがわかった。このことからPEにも構造の決められた分子内ラジカル対の他に、分子間ラジカル対も存在することが推定される。